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MCP サーバーの導入は今? Google と ChatGPT のアプリ連携、経営者が判断する3つの段階

公開 読了まで 約12分

( この記事の要点 )

  1. Google 検索の Connected Apps は米国・英語のみ。開発者向けの仕組みはプレビューで、費用と審査の期間は Google も OpenAI も公表していない
  2. 分かれ目は、AI 経由のお客様が見込めるか、予約や注文をすでにシステムで受けているか
  3. 操作の書き出し、見るだけの試作、公開の3段階で進め、開発会社の提案は10項目で確かめる

「Google の AI や ChatGPT から、御社の予約を直接受けられるようになります。MCP サーバーを作りませんか」。開発会社からこんな提案が届いて、今お金をかけるべきか迷っている方に向けて書きます。社内の業務に AI をつなぐ話ではなく、自社のサービスを外の AI に開く側の話です。

先に結論です。日本国内のお客様が中心の会社なら、今すぐ大きく投資する段階ではありません。2026年11月の時点では、Google 検索でこの仕組みが使えるのは米国・英語だけです。ChatGPT は国を指定して公開する仕組みですが、国内のお客様が AI 経由で予約する場面がどれだけあるかは、まだ読めません。費用や審査の期間も公表されていません。一方で、お金をほとんどかけずにできる準備はあり、条件が合う会社なら小さく試す価値もあります。この記事では、分かっていることとまだ公表されていないことを公式の発表で分けたうえで、自社がどの段階にいるかを判断する手順と、提案を受けたときに確かめることをまとめます。

「AI から自社のサービスを使える」とは何か

これまでの AI のチャットは、ウェブの情報を読んで答えるのが中心でした。いま広がっているのは、AI がお客様の代わりに外のサービスを操作する使い方です。たとえば「来週の火曜に2名で予約できる店は?」と頼むと、AI が予約サービスにつないで空き状況を調べ、予約の手前まで進めます。

このとき、AI と会社のシステムのあいだをつなぐ決まりが MCP(Model Context Protocol)です。公式サイトは、AI のアプリにとっての USB-C のような共通の差し込み口、とたとえています。Anthropic が始めた規格で、2025年12月に Linux Foundation 傘下の Agentic AI Foundation に寄贈され、OpenAI や Google も参加する場で育てられています。MCP サーバーは、自社の予約や見積もりのシステムを、この差し込み口の形で AI に開くための窓口のプログラムです。

仕組みの図。上から順に「お客様」が「AI に頼む」。矢印は3つの AI「Gemini」「ChatGPT」「ほかの AI」に分かれ、3つの AI からの線は1本に集まって「MCP サーバー」につながる。その下に「自社の窓口(共通の差し込み口)」「1つの窓口を、複数の AI に使える可能性」とある。MCP サーバーから「予約・見積もりのシステム」へ矢印が続き、この2つは点線で囲まれて「自社で用意する」と書かれている。
MCP サーバーは、自社の予約や見積もりのシステムを AI に開く窓口です。共通の規格なので、1つの窓口を複数の AI に使える可能性があります。

大事なのは、MCP が特定の会社のものではない共通の規格だという点です。Google も OpenAI も、外のサービスをつなぐ方法として MCP を使っています。1つの MCP サーバーを、複数の AI の窓口に使い回せる可能性があります。

分かっていること、まだ公表されていないこと

2026年10月28日、Google は Connected Apps Platform を発表しました。会社や開発者が、自社のサービスを Google 検索と Gemini アプリにつなぐための仕組みで、1回作れば両方に出せる、と説明しています。ただし、まだプレビュー(試験的な公開)です。ChatGPT の側も含めて、公式の発表とヘルプから分かることを表にしました。

項目Google(検索・Gemini)ChatGPT(OpenAI)
今の状況開発者向けの仕組みはプレビュー。開発者、国、対象の製品を段階的に広げる予定2025年12月にアプリの提出の受付を開始。2026年7月9日に、アプリの一覧はプラグインの一覧へ移った
日本で使えるか検索の Connected Apps は米国の AI モード、英語のみ。Gemini アプリは地域・言語・端末によって異なる国ごとに公開先を指定して提出する。使えるかどうかはプラン・設定・地域などによる
つなぎ方クラウドに置く MCP サーバー、または Android の AppFunctions(Android アプリの機能を AI に開く仕組み)MCP サーバー
お金のやり取り決済の仕組みの説明は見当たらない。お金のやり取りをする操作には、印か確認の指定をポリシーで求めている売れるのは今は物理的な商品だけで、決済は自社のサイトやアプリへ移って行う。デジタルの商品やサービス(月額の契約を含む)は売れない
費用・審査の期間公表なし公表なし

この表から言えるのは、仕組みの土台(MCP)は固まりつつある一方で、日本のお客様に届く場面と効果は、まだ読めないということです。Google 検索は米国・英語に限られ、ChatGPT は提出のときに公開する国を指定する仕組みで、使えるかどうかは利用者のプランや地域などにもよります。開発費の相場も、公式の資料には出てきません。提案の金額が妥当かどうかは、後で紹介する確認の項目で中身を見て判断してください。

投資を急ぐ会社、待ってよい会社

同じニュースでも、会社によって打つ手は違います。次の4つの質問で、自社の位置を確かめてください。

  1. AI 経由のお客様が見込めるか。Google 検索で今届くのは、米国で英語の AI モードを使うお客様だけです。ChatGPT では、自社のサービスを ChatGPT で探しそうなお客様がどれだけいるかを考えます。国内向けで、どちらも見込めないなら、急ぐ理由は小さくなります。
  2. 予約・注文・見積もりを、すでにシステム(API)で受けているか。MCP サーバーは、今あるシステムの上にかぶせる窓口です。土台がなく、電話や表計算で回している会社は、先に受け付けの仕組みを整えるほうが効果は大きくなります。
  3. 何を売っているか。ChatGPT で売れるのは、今は物理的な商品だけです。デジタルの商品やサービス(月額の契約を含む)は、ChatGPT の中でも、外の申し込みのページへ直接案内する形でも売れません。予約については、飲食店の予約に限って、OpenAI が承認したパートナー向けの試験中(ベータ)の仕様があります。それ以外の予約や見積もりは、最新の規定を開発会社と一緒に確かめてください。
  4. 公開した後に面倒を見る人がいるか。AI 側の仕様は変わることがあります。2026年7月の、アプリの一覧からプラグインの一覧への移行もその一例です。作って終わりにせず、直し続ける体制が要ります。

1と2の両方が「はい」なら、試作から始める価値があります。どちらかが「いいえ」なら、まずは次の段階0までで十分です。

3つの段階で進める

3つの段階を上から順に示した図。段階0「準備」:操作を書き出す、サイトの文章を整える、費用はほぼ社内の時間。次へ進む条件は「次の2つが『はい』なら進む」で、「AI 経由のお客様が見込める」「予約や注文をシステムで受けている」。「どちらかが『いいえ』なら、段階0で十分」とある。段階1「小さく試す」:見るだけの操作を、社内で試す。次へ進む条件は「社内の試作で手応えがあれば進む」。段階2「公開」:AI 経由のお客様が見込めて、既存のシステムがある会社から。
国内向けの会社は段階0から始め、条件がそろったら次の段階へ進みます。

段階0:準備(費用はほぼ社内の時間だけ)

  • お客様がウェブでする操作を、1つずつ書き出します。「空き状況を見る」「料金を調べる」「予約する」「キャンセルする」のように分け、それぞれが見るだけの操作か、内容を変える操作かに印を付けます。この表が、後で開発を頼むときの仕様の元になります。
  • 営業時間、料金、対応地域、よくある質問を、画像ではなく文字でサイトに載せ、内容を最新に保ちます。サイトの文章は、AI が会社を紹介するときの材料の一つになります。

段階1:小さく試す(見るだけの操作を、社内で)

  • 空き状況や料金の確認など、見るだけの操作に絞った MCP サーバーを試作し、社内の人だけで使ってみます。Gemini アプリのヘルプにも、サードパーティのアプリは MCP サーバーをリンクしてつなぐと書かれています。
  • ただし、Gemini で自作の MCP サーバーをつなぐ機能は、今は米国にいる18歳以上の人、英語、個人の Google アカウントに限られ、職場や学校のアカウントでは使えません。ChatGPT では、プラグインの画面から自作の MCP サーバーを足して試せますが、使えるかどうかはアカウントや社内のワークスペースの設定によります。どの AI のどの機能で試せるか、その利用の条件を、開発会社に確かめてから始めてください。
  • 見るべきは、AI が正しく答えたか、聞かれ方のどこで間違えたか、です。ここで手応えがなければ、公開に進む必要はありません。

段階2:公開する(条件がそろってから)

  • AI 経由のお客様が見込めて、予約や注文をすでにシステムで受けている会社は、段階1の手応えを確かめたうえで、Google のプレビューへの申し込みや、ChatGPT への提出を検討します。
  • Google の開発者向けの画面(Google Connected Console)では、公開した後に利用の量、応答の速さ、エラーの割合を見られます。自社の側でも、AI 経由の予約の件数、最後まで完了した割合、電話やメールの問い合わせの減り方を、公開の前後で比べられるようにしておきます。

予約や申し込みを AI に任せるときのリスク

総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」の付属資料は、AI エージェントのリスクとして、次のように書いています。

AI エージェントの場合、自律的な動作の中で人間の意図しない商品の注文やファイル削除等の動作を行う可能性がある

予約や見積もりを受ける会社にとっては、まさに自社の受け付けで起こりうることです。同じ資料は、外部のシステムと連携する過程で攻撃を受け、内部のデータが外に送られるおそれにも触れています。

守り方の基本は、内容を変える操作の前に、お客様本人の確認を挟むことです。Google の開発者向けの説明でも、MCP サーバーのツールごとに「見るだけ」か「内容を変える」かの印を付け、確認が必要な操作を指定する仕組みを用意しています。取り消せない操作には、この印か確認の指定を付けるよう、ポリシーで求めています。

説明用のチャット画面の作例を上下に並べた図。上は NG:お客様の「火曜19時に2名で予約して」に、AI が「予約を確定しました 11月10日(火)19:00 2名」と返していて、印に「確認なしで確定」とある。下は OK:同じ頼みに、AI が「この内容で予約しますか? 11月10日(火)19:00 2名」と返し、「予約する」「やめる」のボタンを出している。ボタンの印に「確定の前に確認」とある。
予約のように内容を変える操作は、確定の前にお客様の確認を挟みます(説明用の作例です。実在のサービスの画面ではありません)。

もう1つは、AI に渡す権限を最小にすることです。MCP の公式のセキュリティの説明は、権限を必要な範囲から少しずつ広げる作り方を勧め、MCP サーバーが自分あてに発行されていない鍵(トークン)を受け取ることを禁じています。開発を頼むときは、こうした決まりを守る作り方かどうかを確かめてください。

MCP サーバーの提案を受けたら確かめる10項目

開発会社に「MCP サーバーを作りませんか」と言われたら、見積もりの前に次を聞いてみてください。答えがはっきりしているかどうかが、提案の質を見分ける目安になります。

  1. どの AI の、どの国・言語で使える前提か。日本のお客様に届く時期の見込みと、その根拠。
  2. どの操作を AI に開くか。見るだけの操作と、内容を変える操作の一覧。
  3. 内容を変える操作の前に、お客様の確認をどこで挟むか。
  4. お客様のログインの仕組み。Google の説明では OAuth 2.1 という認可(お客様に代わって操作する許可)の方式が勧められています。
  5. AI に渡す権限と、受け取るデータを最小にしているか。
  6. 操作の記録(ログ)を残し、誰が見るか。
  7. プライバシーポリシーの更新。Google も OpenAI も、公開の条件にしています。
  8. 審査に必要なもの(OpenAI ではテスト用のアカウントなど)を、誰が用意するか。
  9. 1つの MCP サーバーを、Google と ChatGPT の両方に使えるか。
  10. AI 側の仕様が変わったときの直しが、保守の範囲に入っているか。

見積もりの金額は、主に次で変わります。今の予約や見積もりのシステムに、外からつなぐ口(API)がすでにあるか。お客様のログインの仕組みを新しく作る必要があるか。AI に開く操作の数と、内容を変える操作を含むか。公開した後の保守をどこまで頼むか。

この10項目に答えられる提案なら、金額の比較もしやすくなります。逆に、日本で使える時期や効果を言い切る提案は、公式の発表の範囲を超えていないか確かめたほうが安心です。

まとめ

  • AI から外のサービスを操作する仕組みは、MCP という共通の規格に集まりつつある。
  • Google 検索の Connected Apps は米国・英語のみ。ChatGPT は国を指定して公開できるが、国内での効果はまだ読めない。Google の開発者向けの仕組みはプレビューで、費用と審査の期間は Google も OpenAI も公表していない。
  • 国内向けの会社は、操作の書き出しとサイトの文章の整理(段階0)から。AI 経由のお客様が見込めて既存のシステムがある会社は、見るだけの操作の試作(段階1)から始める。

MODS BASE では、予約やお問い合わせの流れの見直しから、AI とつなぐ仕組みの試作までご相談をお受けしています。どの段階から始めるかを一緒に整理したいときは、お気軽にお問い合わせください。

( Written by )

MODS BASE

MODS BASEは、長野県上伊那郡辰野町を拠点に、WEB 制作、WEB 集客の運用代行、UI/UX デザイン・プロダクト開発、ブランディング・グラフィック、AI 導入支援を手がけるデザイン・開発スタジオです。全国のお客様にオンラインで対応しています。

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